司法制度改革によって弁護士が大幅に増加した結果、競争が激化しました。
今回は、そんな競争化の中でも勝ち残るために必要な対処法について詳しく解説していきます。
弁護士間の競争激化の原因は?
それでは、なぜ弁護士になっても「仕事がない」「儲からない」と言われるようになったのでしょうか。ここでは弁護士間の競争が激化している理由についてご説明します。
司法制度改革で弁護士が大量に増加
弁護士間の競争激化の原因として、司法制度改革によって弁護士の数が急増したことが挙げられます。
従来の日本の司法制度では、国民が十分な法的サービスを受けられていなかったと言われています。
そこで国民への十分な法的サービスを提供するために、法曹界の人員を拡充する政策がとられることになりました。
このような司法制度改革の結果、2000年~2010年にかけて弁護士の人数は約11,600人増加しており、それ以前に比べて大幅に増えています。
しかし、このように弁護士の数は増えたものの、弁護士の仕事の数自体が増えた訳ではありませんでした。
そのため、限られた案件を奪い合うような状況になり、結果として「弁護士に仕事がない」「儲からない」と言われる原因の一つになった、と言われています。
弁護士には定年がない
また、弁護士に定年が存在しないということも、競争の激化の原因であると考えられています。
一般企業には定年があり、満65歳に達する日が属する月の末日をもって退職となると規定している会社が多いのではないでしょうか。
しかし、弁護士にはそのような定年退職という制度がありません。
そのため、心身の健康が続く限り、長期間にわたって弁護士業務を継続することができるのです。
司法制度改革によって新たな弁護士も増加してきていることから、稼働できる弁護士の数は増える一方です。
その結果、弁護士1人当たりの案件数や年収が低下することにつながってしまいました。
広告自由化に伴う、ネット広告での案件獲得の激化
弁護士の広告自由化に伴い、ネット、テレビ、ラジオ広告などが増加したことも競争を激化する要因になっています。
今でこそテレビやネットで法律事務所の広告を見るのは当たり前となりましたが、かつての弁護士業界は広告が禁止されていました。
というのも、広告を出すことで、弁護士の品位を貶め、事件漁りによって依頼者の利益を損なうおそれがあると考えられていたからです。
しかし、インターネットなどの通信技術が発達したことで、弁護士の広告規制も大幅に緩和されることになりました。
2000年になって日弁連が「弁護士の業務広告に関する規程」「業務広告に関する方針」を定めたことで、弁護士の広告営業は原則として認められることになりました。
これによって、従来知名度が低かった弁護士であっても、広告営業から新しい仕事を獲得することができるようになったのです。
しかし、このような自由化によって広告競争が激化することとなった結果、競争力のある広告を出稿することができない弁護士は案件を獲得しにくくなりました。
他士業からの参入
さらに、他士業からの参入も競争の要因となっています。
近年、弁護士が行っていた業務範囲を司法書士や行政書士なども行うことができるようになっています。
司法書士のうち、法務大臣の認定を受けているものについては、訴額140万円以下とする簡易裁判所の訴訟代理権を有することができるため、弁護士と業務範囲が重複することになります。
また行政書士は、相続関係、売買、贈与に関する権利義務に関する書類を作成したり、客観的事実を担保できる事実証明に関する書類を作成できたりします。行政書士のうち、「特別行政書士」という資格を取得したものは、弁護士と同じように、行政の許認可などに関する不服申し立て手続きの代理を行うことができるようになります。
このように司法書士や行政書士など他士業の業務範囲が拡大し、重複する業務が増えていることで、弁護士1人当たりが扱う事件数が減少していると言われています。
弁護士の激戦化の中、勝ち残るには?
そのような弁護士業界の激戦化の中、勝ち残るにはどうすればいいのでしょうか。
ここでは5つの解決方法をご紹介します。
個客満足度アップ
まずは、個客の満足度を向上させることが重要です。
1件1件の案件に対して丁寧に対応し、顧客の要望やニーズに応えることで、個客満足度を高めることができます。
依頼者1人1人と真摯に向き合うことで信頼関係を構築し、きめ細やかな法的サービスを提供することが理想です。
そして、事務所の対応に満足してもらえれば、口コミや紹介によって新しい案件の獲得に繋がる可能性が高まります。近年では、ネットの口コミや高評価を頼りに依頼する事務所を判断する相談者も増えてきていますので、依頼者の実際の声や評価が、集客に非常に大きな役割を果たしていると言えるでしょう。
分野特化の弁護士になる
次に、分野特化の弁護士になることも、競争に勝ち残るためには重要なポイントとなります。
特定の分野に特化することで、その分野の専門知識や実務経験を積むことができるため、他の弁護士との差別化を図ることが可能になります。
例えば、「相続に強い弁護士」「債務整理が得意な弁護士」「IT・ネットトラブルに精通している弁護士」というようにそれぞれの得意分野をアピールして知名度を高めることが重要でしょう。
知り合いからの紹介ネットワークを作る
知り合いからの紹介や他業種との横のつながりを作ることも非常に重要です。
既存のクライアントからの紹介や他の業界の人との人脈・コネクションを活用することで、これまでとは異なる業界の方から新しい仕事を獲得できる可能性が高まります。
一度、担当させていただいたクライアントや顧客であれば、既に構築された信頼関係を活かすことができ、口コミや高評価による案件獲得の機会も増加するかもしれません。
Webマーケティングの活用
Webマーケティングの活用も、インターネットが発達した現在では非常に重要な集客方法となります。
具体的には、以下のようなWebマーケティング手法があります。
- ホームページによるコンテンツSEO集客
- リスティング広告
- ポータルサイトに弁護士情報を掲載する
- SNS活用(Twitter、YouTube)
それでは順番に解説していきましょう。
ホームページによるコンテンツSEO集客
事務所のWebサイトを検索結果の上位に表示させ、多くのユーザーに閲覧・訪問してもらうためのWebマーケティング手法です。
リスティング広告
ユーザーが検索したキーワードに連動して検索結果にテキスト形式で広告を表示するWebマーケティング手法です。
ポータルサイトに弁護士情報を掲載する
弁護士情報に特化して情報提供やリンクが設置されているポータルサイトに自身の情報を掲載するWebマーケティング手法です。
SNS活用(Twitter、YouTube)
TwitterやYouTubeなどのSNSでの発信を活用することで弁護士や事務所の知名度を向上させるWebマーケティング手法です。
上記のようにインターネットを活用したマーケティング手法は、比較的安価にできるものも多いため、積極的に活用するようにしましょう。
オンラインでの情報発信や広告活動によって多くの人の目に触れる可能性が高まります。
IT活用により生産性アップ
最後に、ITを活用することで業務の生産性をアップさせることも重要です。
時間の余裕ができれば、1つ1つの案件に集中することができ、営業やマーケティング活動に充てられる時間も増えます。業務効率化により、より多くの時間を顧客対応や案件獲得に使えるようになります。
また、ITの活用は法律事務所の魅力のひとつとして弁護士や事務員採用の際にアピールポイントとなる場合があります。
そして、これらの方法を組み合わせることで、顧客満足度が上がり、良い口コミや紹介案件も広がり、継続受任や紹介案件が増大するという相乗効果も期待できます。
まとめ
ここまで解説してきたように、弁護士の競争に勝ち残るためには、業務管理の効率化は必要な要素のひとつとなります。
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